ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの約束へとたどり着くまでの甘い軌跡。~

 居酒屋の長テーブルには、真新しい服に身を包んだフレッシュな面々がずらりと並んでいる。
 みんな、新生活への期待に満ちあふれているのか、キラキラした瞳をしている。

「スポーツ観戦サークルにようこそー! カンパーイ!」
「カンパーイ!」

 サークルの新入生歓迎会が始まった。
 今年は二年生として、一年生を歓迎する側だ。
 いずみは持ち前の明るさで、緊張気味の新入生たちに積極的に話を振って場を盛り上げている。
 私も、いつもの人見知りを少しだけ封印し、後輩たちと笑顔で会話をするように心がけていた。

 ――ガタガタガタッ……

「いらっしゃいませー!」

 建て付けの悪い音を鳴らしながらお店の扉が開くたびに、ハッとして入り口の方へ視線を向けてしまう。

 ここは、去年の歓迎会と同じお店だ。

 ちょうど一年前、あの扉の向こうから祥ちゃんが現れた。
 偶然の再会を果たした瞬間の記憶が何度もフラッシュバックして、胸がざわめく。

 けれど……今日ここに、祥ちゃんはいない。

 サークルのグループチャットでは「バイトだから欠席する」と言っていたけれど……。
 もしかしたら、私がいるからと気を遣わせてしまったのではないか。
 そんな心配が、頭の片隅から離れなかった。