ふたつの弧が、重なるとき ~六年越しの初恋が熱を持った。不器用に重なり合うふたりの想いが、やがてひとつの約束へとたどり着くまでの甘い軌跡。~

「……店長。ずっと一緒にいるためには、どうしたらいいんですか?」

 気がつけば、すがるように真剣に問いかけていた。
 柳くんはグラスに口を付けながら、黙って私の顔を見ている。

「えー? でも、美絵ちゃんたちはお互い大好きなんでしょ? お互いを大事にしてたら大丈夫だよ!」
 笑って励ましてくれる店長に、私は俯いた。
「でも……『大事にする』って、どうしたらいいか、わかんなくて……」
 ぽつりと弱音を吐き出す。
「何か悩んでるの?」

「……どうしても、やきもち焼いちゃうんです」

 私が絞り出すように明かすと、柳くんが「……中学生か」と鼻で笑った。

「やきもち!? はあ〜、最後に妬いたのなんていつかしら……」
 店長は遠い目をしてから、「別にいいんじゃない? 彼氏は、そんな美絵ちゃんも可愛いんじゃない?」と慰めてくれる。
「でも……そういう『可愛い』のじゃないんです。可愛くない、めんどくさいやきもちなんです。彼氏は悪くないのに、私が自分に自信がないせいで、なんでも不安に感じてるんです……」
 お酒のせいで、心の奥底に沈めていた黒い感情が、次々と外に溢れ出てくる。

 私の言葉を聞いた柳くんが、「あーわかった」と納得したように頷いた。

「そういうやつね。森って、だいぶめんどくさいタイプだな」

 ――そう。柳くんの言う通りだ。

『やきもち焼きでも、子供っぽくてもいいよ』と、祥ちゃんは前に言ってくれた。
 でも、今の私は、祥ちゃんが『いいよ』と言ってくれた範疇に収まっていない気がするのだ。

 もうそろそろ、私の重さに嫌気がさしているかもしれない。

「……え?」
 突然、柳くんが私の顔を見てギョッとした声を上げた。
「よ、美絵ちゃん!?」
 店長も驚いて身を乗り出す。

 そこで初めて、私は自分がボロボロと涙をこぼしていることに気がついた。