アーネストは辟易としているようだった。前髪を掻き上げてため息を吐く。
一方でミリーネもまた、アーネストへの不満が止まらない。
「前は毎日でも会ってくれていたのに! 国民なんて何もしなくても生きていけるわよ。――ところで」
ミリーネは振り返るとフィリーネを見据える。
「おまえはいつまでここに突っ立っているの? アーネスト様と話していたみたいだけど、一体何を話していたの?」
語尾になるに連れてミリーネの目が鋭くなっていった。
フィリーネが答えようとすると、それよりも先にアーネストが口を開く。
「ほんの少し世間話をしていただけさ。それよりも彼女、なんだかミリーネ嬢に似ていない? 気のせいかな?」
「アーネスト様、私がこの忌み……使用人と似ているなんてあり得ないわ。一緒にしないでちょうだい」
ミリーネは一瞬面食らったものの、すぐに体勢を立て直して取り繕う。
「ああもう。今日こそはお芝居を見ていつもと違う過ごし方がしたかったのに!」
ミリーネは地団駄を踏む勢いで不満を口にする。
「それなら、こうするのはどう? 今日は三人で一緒にお茶をするんだ。そうすれば少しは気分転換にもなってミリーネ嬢の気分も晴れる。ね、君もそう思うだろう?」
「は、はあ?」
アーネストが突拍子もない提案をしてきたので、フィリーネは愛想の良い笑顔を張りつけるしかない。



