(この方はお姉様の婚約者、アーネスト=ランドレイス様です!!)
直接会ったことはないけれど前に一度だけ、ミリーネとお茶をしている姿を見たことがある。ミリーネがしょっちゅう顔を誉めそやすのでフィリーネの記憶にも残っていた。
(まだ訪問の時間になっていないはずですが、どうしてここにいらっしゃるのですか!?)
青ざめるフィリーネに対して、彼は人懐っこい笑顔で話しかけてくる。
「気にしなくていいよ。今度からは気をつけてね。それにしても、君はここの侍女なのかい? 他の人と服装が違うし、なんというか……かなり質素な身なりをしているね」
アーネストはフィリーネからボロボロのワンピースへと視線を移す。
フィリーネは顔を朱に染めた。指摘にどう答えていいか分からず顔を伏せる。
(お父様が世間には病弱な娘と話しているようなので、私がフィリーネだと名乗るわけにはいきません。万が一口を滑らせてしまったら嘘がバレてしまいます!)
すると、それまでアーネストの後ろで控えていた執事が助け船を出してくれた。



