プレゼントは同級生の末永くん!?

「はい、これ! 本当にキュンキュンするから、光くんも絶対好きだよ」

琴葉が自室から持ってきたのは、キラキラした表紙の単行本が三冊。

俺はそれを、まるで難しい参考書でも受け取るような、厳粛な面持ちで受け取った。

「サンキュ。……借りるわ」

「うん! 明日の朝、感想聞かせてね!」

琴葉は自分のお気に入りを共有できたのが嬉しいのか、さっきまでの気まずさを忘れたように、ご機嫌で自分の部屋へ戻っていった。

パタン、とドアが閉まる音を確認して、俺は速攻で自分の部屋に駆け込む。

机に向かい、借りたばかりの単行本を広げた。

「……まずは敵を知ることからだ」

紫音が琴葉に言った「お返しと返事、楽しみにしてる」というセリフ。

そして琴葉が「漫画みたい!」と目を輝かせた、このヒーローの言動。

一体、何がそんなに女子を惹きつけるのか、徹底的に解剖してやる。

ページをめくると、そこには完璧なビジュアルのイケメンが、恥ずかしくなるような甘いセリフを連発していた。

『お前のこと、誰にも渡したくないんだ』

「……っ、これ、俺がさっき言おうとしてたことじゃん」

喉まで出かかって、飲み込んだ言葉がそのまま一字一句載っている。

俺は思わず頭を抱えた。

「マジかよ……。これ、普通に言ったらパクりだと思われるのか……?」

焦る俺の横で、さっき渡した本命のチョコと、書き直したばかりのメッセージカードが虚しく置かれている。

漫画超えの「本物」を見せる方法を考える

「……寝てる暇なんてねーな」

ホワイトデーの夜。

俺は、恋のライバルと「漫画のヒーロー」という二人の強敵に勝つため、徹夜で少女漫画を読み漁った。