契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 私は一緒に暮らしていても、未だ彼のことがよく分からない。
 仕事熱心で、できる男の典型のように見える時もある。

 良いお父さんのように見える時と、私を口説くただの男に見える時もある。
(私のことを好きなようなそぶりを見せてくるけど⋯⋯私は彼に好かれるようなことは何もしていないからそれはない)

 陽子が私に気がつき、小さく手を振ってくるのが見えた。
 隣にいる茶髪でチャラそうに見えるのが、彼女の婚約相手の森田蓮だろう。

「陽子、婚約おめでとう」
 私は思ってもない言葉を発しながら陽子に花束を渡すと、彼女は隣にいる緋色さんを凝視していた。