契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「アポイントメントのない方のご来訪はご遠慮頂いております」
 思慮の浅い受付嬢は派遣か何かだろうか。受付は2人もいるのに、2人揃って私が誰だか分かっていない。私が誰か分かっていれば、当然、直ぐにでも社長秘書に連絡を取るはずだ。

「私は小笠原製薬の小笠原陽子よ。今、案内しないとあなたが大変な目にあうと思うけれど」

「少々お待ちください。今、確認します」
 極上の男とも言える白川緋色と、日陰が結婚するのが納得がいかなかった。

 アポイントメントなどなくても、名前を出せば彼に会える確信があった。私は特別な人間だ。

「あの、失礼致しました。只今、社長室までご案内します」