契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 あの日の望月さんの微笑みは営業用だったのだろうか、男といる彼女はとても冷めた厳しい目つきをしていた。

 俺はなぜだか気になってしまい、会話に聞き耳を立ててしまった。
(俺らしくないな。なぜ、彼女がこんなにも気になるんだ? 勝手に運命を感じていて、自分でも気持ち悪い⋯⋯)

 彼女の「余命1年」という言葉に背筋が凍る。
 そして、男はそんな彼女を労る訳でもない。
(そんな男に彼女は渡せない!)

 彼女には記憶にも残っていないかもしれない客の1人に過ぎない俺が持つには可笑しい感情だ。
 しかし、その感情のままに俺は彼女を呼ぶように秘書に言いつけた。

 レストランの個室に彼女を通す。