契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「なんで、許せるんだ? 完全に谷村医師のやったことは犯罪だぞ」
「許せてなんていないわ。ただ、彼の本音を聞くために心に寄り添ったふりをしただけ。小笠原家が私の余命宣告に関わってないかはっきりさせたかったの」

 俺のスーツの裾を掴んでいる彼女の手は震えている。
 余命宣告をされて、仕事まで辞めて、毎日のように不安で過ごしてきたのだから当然だ。

「日陰⋯⋯でも、あんな事をする男に何の罪も与えないのは危険を放置すると同じ事だと思うぞ」

「私、ああいう変態にばかりに好かれるの。自分がどう言う目で見られているか、わかってるから。事を荒立てて、目立ちたくないわ」
 俺は彼女の言葉に不安になった。