契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「すみません。もしかして、谷村先生と私は以前から面識ありましたか?」

 日陰はこのような状況なのに落ち着いて号泣する医師に優しく尋ねていた。

「内定前の健康診断の時、楽しくお話ししました。膝の傷をどうしたか聞いたら、自転車で転んだって会話を覚えてませんか?」

 俺は谷村医師が一体何を言っているのかが分からなかった。

 日陰は、キモメン医師の彼の言葉を理解しているようだ。

 そもそも、彼の言う「楽しい会話」は俺からしたら質問されたから彼女が答えただけの質疑応答だ。

「CAの内定前の健康診断って細かいの。短パンで簡易ベッドに寝転がって、体の傷を確認しているみたいなのがあったわ」