契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 勇は愛を語ってくる事はなかったけれど、綾野先輩は緋色のように愛情表現を頻繁にしてきた。
 しかし、綾野先輩は私のこと好きだったと言うのは嘘だったみたいに私を傷つけ続けた。

 胸が焼けるような感覚がする。

 騙されていたとしても、一時的でも彼に愛されている実感が欲しいとバカ女の感情が押し寄せた。

「緋色、あなたが何を考えてても一緒にいたい!」

 私は彼の頬を両手で覆いながら、思いの丈を言った。
 その言葉に緋色より早く反応したのは、谷村医師だった。

「うおー! 日陰さん! 日陰! 日陰ー!」

 号泣する谷村医師に、私はすっかり現実に引き戻された。