契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 私がキスの途中で息を切らしながら、言っても彼は待ってくれない。
 私の中でどこか諦めのような気持ちがあって、彼のキスに溺れるしかなかった。

「と、到着致しました」
 運転手が戸惑いながら掛けてきた言葉に、恥ずかしくて顔から火が出そうになった。

「ありがとうございます」
 車を降りると、私が精密検査で来院した谷村総合病院があった。

 東京には沢山大きな病院があるのに寂れた小さな総合病院だ。
(難病だって、余命1年だって言ってたよね⋯⋯お医者様がそんな酷い嘘つくなんてことある?)

 不安で仕方がない私を察してくれたように、緋色は私を抱き寄せながら病院内に入った。