契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 妻の美咲は帰らぬ人となり、俺には彼女の忘れ形見の息子のひなただけが残った。

 俺は美咲の骨壷と、生まれて間もないひなたと一緒に一刻も早く日本に帰りたかった。

 しかし、プライベートジェットは荒天で危ないから飛ばせないという。

(観光客がうるさい、みんな幸せそうに見える。こんなところに居られる心境じゃない⋯⋯)

「オギャー! オギャー!」
ひなたが泣き出して、気が狂いそうになる。

 これから、1人でこの子を育てていくのかと思うとゾッとした。
(ひなたを産まなければ、美咲は死ななかっただろうに。なぜ、お前だけが生きているんだ)