契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「余命1年しかないと宣告されたら、強くなれたんです。私、その時に初めて陽子にやり返してやろうと思いました。じゃあ、私はもう行きますね。助けてくれてありがとうございます、お大事に」
 日陰さんは俺に微笑みかけると、彼女の目に溜まった涙がホロリと布団に落ちた。
 彼女が軽く会釈をして消えていった扉を俺はずっと見つめていた。

「余命1年⋯⋯俺もそんな宣告をされれば強く戦えるかな」
 保釈期間に傷害事件を起こした陽子を、俺が被害届を出すことで葬れる。

 しかし、父の顔がチラついて、そんな事は到底できる気がしない。

 日陰さんの為にも、俺は被害届を出した方が良い。