契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

(心底、こんな男と付き合っていた自分が気持ち悪い)

 私は、怒りのあまり体が震えだすのを止めるので精一杯だ。
(何なの? 勇って本当にクズ男じゃない。脳みそが下半身についているのかしら)

「望月日陰様でいらっしゃいますか? うちの社長の白川緋色があなた様とお話をしたいとのことで、宜しければお時間頂けますでしょうか?」

 突然、現れたスーツの男から話しかけられる。

 白川緋色といえばスカーレットホテルグループの社長の名前だ。

 面識はないが、勇の顔をもう見なくて済むならば彼について言ってしまおうと思った。
(それにしても何で私の名前を知っているんだろう⋯⋯)