契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 彼女の強い言葉に、父が一瞬怯んだのが分かった。
 しかし、父は再び顔を作って余裕の表情を浮かべた。

「蓮! とりあえず、伝えることは伝えたから。では、日陰さん⋯⋯もっと今の環境に馴染めると良いですね」

 父はそう言い残すと、病室から出ていった。
 確かに、小笠原社長の娘であり白川家に嫁いだ彼女はすでに上流階級に仲間入りしている。

「日陰さん、怖いもの知らず過ぎだよ」
「私は怖いものばかりの臆病者ですよ。ずっと、陽子のことが怖くて彼女に色々なものを奪われてもじっと我慢していました」
「俺から見ると日陰さんはとても強い人に見えるけど⋯⋯」