契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 冷めた目で彼女に言う父に俺はゾッとした。

 俺も同じ質問を父にしたいが、怖くて彼が答える気がない質問をする勇気がない。
(俺って本当に情けないな⋯⋯)

「私は別に息子さんと結婚する気はないので、理由を聞けないならそれでも構いません。私には愛する夫と息子がもういますので」
 日陰さんはとても強い人だ。
 魑魅魍魎のような恐ろしい人間たちの中で、儚さを感じさせながらも強く生きている。

「そうだ蓮! 今回の傷害事件については口を黙なさい。病院側にも箝口令を引いた」
 やはり父は冷たい人間だ。

 傷を負って病院のベッドに横たわる息子に労りの言葉ではなく、今後の対策を伝えてくる。