契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「ちょっとやめてください」

 俺は思いきり日陰さんに押し返されていた。
(めちゃくちゃ痛い! 今、傷口開いた感じがする! 俺、怪我人だってば!)

「命を助けたんだから、キスくらいさせてくれても良くないか?」
 これは、俺の偽りざる本音だ。

「私の唇はそんな安くありません」

 日陰さんの言葉に、俺は絶句するしかない。
 俺の命よりも彼女の唇は高いらしい。

「本当に女なら、誰でもいいんですね⋯⋯」
 彼女が呟いた言葉に、俺は少なからず傷ついた。

 確かに誰かれ構わず、キスをしたり関係を持ってきた。
 そんな今までの俺を罰するかのように、本当に好きな人に軽蔑の視線を向けられている。