契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 それでも男として勝ち目のない白川緋色を前にして、俺は情けない姿を晒していた。

「パパー! もう、帰ろう」
 2歳くらいの白川ひなたが、甘えたような声を出す。
 彼が白川緋色に甘える姿に、どことなく死んだ美咲の面影を感じた。

「ああ、そうだな」
 俺は幸せそうな3人家族を見て、自分がこの間に入るのは間違っていると思った。

「緋色さん! ひなたと先に帰っててください。私は森田さんの親御さんがいらっしゃるまで彼に付き添っていたいと思います」

 思ってもなかった日陰さんの言葉に、俺は彼女の恐ろしさを感じた。

(さっき自分が俺にキスされそうになったことに気がついていないのか?)