契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「日陰さん、本当に悪い女だな」

 俺は思わず彼女に口づけようと、彼女の頭を押さえて顔を近づけていた。

 いつも女を落とすためにしていた行動を、無意識にしてしまうほど俺は彼女を欲していた。

「森田君! 妻がお世話になったようですね。ありがとうございました」

 まるでこの世に自分と日陰さんだけみたいな気持ちに浸ってきた時に、扉を開けてカットインしてきたのは白川緋色だった。

 彼に頭を鷲掴みされて、彼女から遠ざけられる。
(首がもげそう⋯⋯痛い⋯⋯)

 美しい人が怒るとこれ程に怖いのかと言うほど、白川緋色は俺を睨みつけていた。