契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 今もめちゃくちゃ痛くて事切れそうなのに、俺は彼女がこの出来事をきっかけに自分を意識してくれることを期待している。

 切れ者だった須藤玲香と違い、ズレまくりの日陰さん。
 でも初恋の須藤玲香とは異なる、もっと強い感情を俺は彼女に抱き始めていることに気がついていた。

「お背中痛いお兄ちゃん、よくなったみたいだねー」
 その時、俺の気持ちを遮る甲高い子供の声が聞こえた。
 彼女が妙にに大切にしている子、白川ひなたの声だ。

「そうね。お兄ちゃん。お背中痛いの飛んでったみたいね」
 俺は聖母のような笑顔で、白川ひなたの頭を撫でている日陰さんをただ見つめるしかなかった。