契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「ここで降ります。あなたといるだけで不愉快です」
 私が走ってる車の扉を開けようとすると、運転手が急停車した。

 急ブレーキの振動で、思わず私も森田蓮も浮くような感覚を必死に抑える。

 私は扉のロックを外して外に出た。

「いたー! 日陰! いたー! 死ね! 」
 私はなんと運が悪い女なのだろう。

 多くの監視を潜り抜けるように、私に突進してきたのは陽子だった。
 彼女は自分の髪留めのクリップを手に持って私に突進してくる。
(あれじゃ、刺されても致命傷にはならないはず)

 そう願いながら私は咄嗟に目を瞑り身を屈めた。
 下を向いていると地面が赤く染まっていくのがわかった。