契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「日陰さん。こんな診断書を信じないで。生きられるから、泣くなよ」
 森田蓮が私の頬に伝った涙を唇で吸いあげながら語る。

 彼は弱った私にさえ取り入ろうとするくらい、小笠原社長からの任務を遂行したいのかと腹がたった。

「やめて! しつこいし、気持ち悪いです。私はひなたと一緒に少しでもいたいだけなんです! 男に寄りかかりたい訳じゃありませんから」
「へっ? 子供目当てなの? 白川緋色じゃなくて⋯⋯それなら、俺と子供作ればいいじゃん」

 私は子供なら誰でも良いと思われているようで苛立った。
 ひなたは私にとって、もう特別な存在になっていたからだ。