契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 私自身は彼女のことを、ほとんど知らない。
 私は彼女の娘であるはずなのに、言葉を交わしたこともない。

「めちゃ知ってる。俺の初恋の人だし。よくうちに小笠原社長と一緒にきて食事をしてたよ」
 彼の言葉に虚しい気持ちになった。

 私は父である小笠原社長とも、母である須藤玲香ともろくな会話をしたことがない。
 それなのに彼らは、よその子の森田蓮とは交流を持っていたようだ。

「私は2人とろくに話したことありません。だから、なんの感情も持てませんし、森田さんも小笠原社長の言うことを聞く必要ないと思います」

 私の言葉を聞いた森田蓮は薄く笑うと、私の頬に手を添えてきた。