契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「日陰、電話もメールも全然反応がないから心配で⋯⋯陽子に連絡したら会社を辞めたって聞いたんだ」

「そうだよ。それから、余命1年って話も聞いた? 私たちの結婚もなしだね、私たち、別れましょ」
私が軽く言った言葉に勇の顔が曇る。

「日陰、とにかく退職祝いをしよう。ディナーの予約をとってあるんだ」

「そう、じゃあ、お別れのディナーをしようか」

 私の言葉にますます顔を曇らせた勇は、私の手を引き高級ホテルのフレンチレストランに連れて行った。

(こんなレストラン連れてきてくれたこともない癖に、何を考えているんだか⋯⋯)

「死ぬなんて嘘だよな。だって、ワインも飲んでるじゃん」