契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 緋色さんが私の頬にそっと触れてくる。

「小笠原社長が森田蓮を連れてきて、彼がひなたに私がママじゃない。ママは死んだと言っちゃったんです」

 言い終えると共に胸が詰まる。
 何でこんなミスをしてしまったんだろう。

 緋色さんがひなたの心の為に守ってきた秘密が、あっさりと明かされてしまった。

「日陰、大丈夫だから」
 緋色さんが私を抱きしめてくれて、その体温が温かくて思わず抱きしめ返した。

「ひなたが私のことお姉さんなの?って⋯⋯」
 ひなたの質問にこたえず話を逸らしたが、ひなたは私が偽の母親だと気がついたかもしれない。

 ひなたが母親の死に気がついたことだけが嫌なんじゃない。