契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「日陰みたいに上手ではないけれどね」
「いえ、すごく美味しかったです」

 私は父の料理を思い出していた。

 私が1歳の頃に母が出ていってしまったから、父が料理をするところをよく見ていた。
(私の存在が望月夫婦を引き裂いたようなものだわ⋯⋯2人は会えたかしら)

「今、よくないことを考えているだろう。顔で分かるぞ」
「そんなことありませんよ。それから重いです。自分の場所に戻ってください」

 気がついたら、ひなたは爆睡していた。
 緋色さんが私の上に乗っかっていたので注意する。

「今日はもう少し日陰の顔を見てから戻る。君を失うかと思って本当に怖かったんだ」