契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「そうだね。ある意味、陽子は特別な人間だよ。特別、空っぽな人間。何にもできない癖に、就学も就職も何でも思い通りになるんだもの。でも、陽子が空っぽなのは近くにいたらすぐ分かるよ。見ていて痛々しいから、私は小笠原家の人間じゃなくて心から良かったと思う」

「あんた何なの? 殺されたいの? はっきり言って私があんた殺しても、何にも罪に問われないから。あんたを痛ぶるのも飽きたから、もう殺してあげる」
 陽子が思いっきりワインボトルを振り上げた。

 私はこれから来るだろう衝撃に備えて目を瞑った。
(彼女を煽ることなどしないで、和かに前みたいに対応していれば良かった? でも、もう限界だよ)