契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 男と逃げたと言われても、幼い私を連れて行く選択肢がなかった訳じゃないと思った。
(行先が途絶えたのは、札幌か⋯⋯もう生きているか死んでいるかも分からないわね)

 男と一緒に逃げたと言われていた母親を探しはじめたのは大学を卒業してからだ。

 父や祖父母に私が母親を探しているということは知られる訳にはいかなかった。

 家では母親の話をするのはタブーという雰囲気があったからだ。

 私はステイ先で観光するふりをして、1人で母親を探し回った。