契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 耳にスマートフォンを当てていると、目の前に私の初恋の人が現れた。
 スラリと背が高くて、どこか影のある高校時代の面影を持った綾野先輩だ。

「日陰久しぶり。元気だった? せっかく会えたんだから、電話は切って」

 綾野先輩は相変わらず強引だ。
 彼は私の手首を持ち鞄にスマートフォンをしまわせると、私の手首を強引に引っ張った。