契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 元々、旅行に行く予定でスケジュールは空けていたはずだ。
 それなのに呼び出しの電話があったということは、余程緊急の仕事が入ってしまったのだろう。

「じゃあ、私ここで降ります。夕飯の買い物もしたいので」
「早めに帰るんだぞ。くれぐれも知らない人にはついてかないように!」
 緋色さんが子供に言い聞かせるように言ってくるので思わず笑ってしまった。

 車を離れて少し歩いた所で、スマートフォンが鳴る。

(川瀬勇⋯⋯)

 表示を見ると勇だった。

「日陰、よかった出てくれなかったらどうしようかと思った⋯⋯」