契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「加奈が『探さないで欲しい』と書置きと離婚届を置いて去っていったからだ。男と逃げたと言えば、日陰も探したりしないだろうと思ったんだ」

「私は会いたくてずっと探してたよ。お父さんが嫌がると思ったから隠してたけれど、ずっとお母さんのことを探していた⋯⋯」

 本当に父は何も分かっていない。

 緋色さんがハンカチを渡してくる。
 私はどうやら泣いていたようだ。
 何が悔しいのか分からないが、とにかく悔しい。

「お父さん、今、お母さんは札幌にいるの。迎えに行ってあげて。それで、私の出生の秘密を明かしてあげて」
「こちらが望月加奈さんの住所です。小笠原家の問題はこちらに任せてください」