契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 玄関で堰を切ったように問い詰める私に父と緋色さんが驚いているのが分かる。

「まあ、とりあえず中にお入りください⋯⋯」
 父が私の勢いにタジタジになりながら、私と緋色さんを客間に案内した。


「日陰、悪かった。お前にはいつか話そうと思っていたんだ」
 お茶を出しながら言う父は、何に対して謝っているのだろう。

「私が怒っているのは、お母さんが家を出た理由を男と逃げたって嘘をついたことだよ。絶対にそんな理由じゃないでしょ」

 私は父が私の実の両親を明かせなかったことに対しては怒っていない。
 小笠原家と望月家での関係上、仕方がなかったと自分を納得させることができている。