契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「陽子は何も悪くないよ。綾野先輩が陽子のこと好きになっちゃたんだって。陽子も私に悪いって悩んだらしいよ」

 笑顔で陽子をフォローする日陰は痛々しかった。
 彼女は昔から必死に周りに好かれようと、ずっと笑っているところがあった。

「そうやって、いつも笑ってなくても好かれると思うよ。日陰、心はずっと泣いてるだろ」
 放課後の教室で一人佇んでいた日陰に声をかけると、彼女は堰を切ったように泣き出した。

「もう、陽子から離れたいよ。どうしたら良いの? もう、陽子が嫌で仕方ないの⋯⋯」

 日陰は本当は相当ダメージを負っていた。
 当然かも知れない。