契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 途方もなく寂しい気持ちになった。
 これからどのような時も助け合っていこうと誓い合うのが「結婚」だと思っていた。

 私は母親がすぐにいなくなってしまったから、正しい「夫婦」や「結婚」の形がわからない。
 でも一方に欠陥があれば捨てて、次にいけるという柔い誓いは「結婚」ではないはずだ。

 気が付くと外は夕暮れだった。
 私は何だか不安な気持ちになり、勇の家に行った。
(あれ、鍵が開いてる。玄関に女物の靴⋯⋯)

 私と別れた後に、彼は誰か女を部屋に呼んだのだろうか。

 心臓が飛び出しそうなくらい胸の鼓動がうるさい。
 勇は浮気とは縁がなさそうな信頼できる男だと思っていた。