契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

 気を失ったことなんて初めてだ。
 それほど、先程聞いた母親についての話は信じられなかった。

「自分で歩けそうなら、安心した。それと、復讐のご褒美の件だが今日は俺と一緒のベッドで寝てくれないか?」
 彼の提案に思わずため息が漏れた。

「もちろん、何もしない。ただ一緒にいたいんだ⋯⋯」
「わかりました。今日は一緒のベッドで眠りましょう」
 夫であるのに「何もしない」と私に必死に弁明している彼に思わず苦笑した。

「別に、俺は何かしても構わないんだが」
「いや、今、何もしないって言いましたよね」
 彼は初対面では洗練された大人の男に見えたが、少し子供っぽいところがある。