契約婚だから溺愛は不要です〜余命一年で捨てられた私はホテル王に求婚される〜

「君を貶めることに喜びを見出している小笠原陽子の信頼を得るための演技だ。君は人から向けられる好意に鈍いところがあるぞ。川瀬勇は君を自分の存在よりも大切に思える唯一の存在だと言っていた」

 大切だとか、愛しているだとかそう言った言葉を勇は言わない。
 私には直接言わないくせに、緋色さんには私を大切だと伝えていたなんて本当に変な男だ。

 冴えない地味な男だけど、川瀬勇は私にとって信頼できる存在だった。
 彼はいつも私を優先してくれていたからこそ、死ぬまで一緒にいてくれると思っていたし陽子と共謀して裏切っていたと知った時はショックだった。