※このイケメンたちは呪われています

 どっちかっていうと神薙に不利益がある話……それがざわざわの正体なんだろうな。

 できれば私に面倒がかからない話であってほしいっ、と心の中で必死に両手を擦り合わせる。

 極めて真剣に、神様に祈ったその直後のことだった。

「……――っ、ちょっと待って!!」

 私は咄嗟に、大きな声を上げて腕を伸ばして掴んだ。ランニング途中な様子の、帽子を目深に被った男の子の腕を。

 私よりも遥かに大きな彼の顔は帽子の影で全く見えず、正直のところ私は彼のことを知らない。

 だけど、止めないといけなかった。

「あの、キミって毎日この辺り走ってるよね? それで、ずっと気になってたことがあるんだけど――」

「っ……触んな」

 聞きたくないと言わんばかりに、力任せに腕をはたかれる。

 その衝撃で少しだけ帽子の影が揺れ、彼の瞳だけを認識できた。

 濁りの一切ない藤色の瞳、それが強い拒絶を示している。拒絶で濁ってしまいそうなほどには。

「ごめんね、いきなり。でも私、キミに言わなきゃいけないことがあるの! ちょっとだけ待ってよ!」