嫌だ。このまま流されたくない。分からないまま終わるの、嫌だ。気づけば私は、東の制服の袖をぎゅっと掴んでいた。東が少しだけ目を見開く。
離さない。今日は、離したくない。振り回されるのは私ばっかりだ。東の言葉で喜んで、落ち込んで、期待して、傷ついて。
だったら少しくらい、東だって私のことで頭いっぱいになればいいのに。
もっと私のこと考えてよ、東。
「私だって、東ばかり見てる」
気づけば、そんな言葉が口からこぼれていた。言った瞬間、自分でも心臓が止まりそうになる。
「え?」
「だから簡単に気づくよ。いつもと違うこと」
声が少し震えた。でも、ちゃんと東を見上げた。
ほんの些細なこと。声のトーンとか、笑い方とか、目線とか。誰も気づかないような変化。でも私は気づく。だってずっと見てきたから。東ばっかり見てきたから。
東が笑うたび嬉しくなって、機嫌悪そうだと気になって、元気ないと苦しくなるくらいには。なのに。そんな私の気持ちなんて、東にはこれっぽっちも届いてないんだと思うと、どうしようもなく悔しかった。



