そろそろ、学校も近づいてきたし、北見からは離れたほうがよさそうだ。
わざと、歩く速度を亀速度にして、北見の背中を見ながら歩く。
もし、これが東だったら…とかなんとかまたあることないこと考えて。
東だったとしても、北見ほどではないけれど、ファンもたくさんいるわけで。現に昨日、思い知ったし。
私が隣にいないことに気づいてないのか、はたまたどうでもいいのか。北見は何も言ってこないけれど。
……もし、これが東だったら。
東だったら、きっとすぐ気づくんだろうな。
「あれ、西宮?どうしたの?」って、少し困ったみたいに笑いながら振り返ってくれるんだろうな。東はそういう人だ。
今度は、堪えきれなかったみたいにため息が漏れた。小さく吐き出した息は朝の空気に溶けていく。
……考えても仕方ないのに。東のこととか、昨日のこととか。ぐるぐる考えたって、どうせ答えなんか出ない。分かってるのに、頭の中から消えてくれない。
そんなことを考えているうちに学校へ着いて、昇降口に入った瞬間だった。
私は、自分の目を疑った。
3組の下駄箱の前。
そこにいたのは、東と——昨日の女の子。
並んで立っているその姿を見た瞬間、心臓がどくん、と嫌な音を立てた。
なんで。
一瞬、頭が真っ白になる。
昨日、相合傘してたあの子。東の隣で嬉しそうに笑ってたあの子。なんで今日の朝まで一緒にいるの。昨日だけじゃなかったんだ。



