君に捧げるアイラブユー




学校まで徒歩で行ける距離なのは、便利だけどこういう日は最悪だ。

電車ならぼーっとしてるだけで着くのに、歩きだとちゃんと自分で足を動かさなきゃいけない。しかも今日は体調まで悪い。マスクの中は熱がこもるし、喉は痛いし、鼻も詰まってるし、歩くだけでどんどん気分が沈んでいく。


昨日の雨のせいで、道路のあちこちにはまだ水たまりが残っていた。昨日あんなに降ったのに、今日は何事もなかったみたいに晴れてるなんて。


ぼんやり水たまりを見ながら歩いていると、嫌でも昨日のことを思い出す。

なんでこんなに引きずってるんだろう。東はああいう人だって、ちゃんと分かってたはずなのに。

優しくて、誰にでも親切で、困ってる人を放っておけなくて。

去年、同じクラスだった時なんて、そんな光景何回も見てきた。教科書忘れた子に貸してあげたり、荷物持ってあげたり、女子に頼まれごとされても普通に引き受けたり。そのたび周りの女子が騒いでた。


東って優しいよね、って。かっこいいよね、って。

私は、別に特別じゃない。東はみんなに優しいだけ。ちゃんと分かってた。


……なのに。最近、浮かれてたのかもしれない。

クラスが違うことをずっと嫌だと思ってた。でも今思えば、見なくて済んでただけなんだ。東が他の女の子に優しくしてるところを。隣で笑ってるところを。