君に捧げるアイラブユー




学校へ行く準備を終えて、玄関でローファーを履きながら、私は重たい気持ちをなんとか持ち上げていた。



「すぐり、大丈夫?やっぱり病院行く?」



リビングからお母さんが心配そうに顔を出す。私は振り返って、できるだけ元気そうに笑った。



「お母さん、大丈夫だよ。もし熱出たら連絡するね」



なんていい子なんだろう、私!


無理しないんだよ?というお母さんに、はーいと返して、私は玄関の扉を開けた。


むわっ、と熱気がまとわりつく。晴れてるせいで余計に空気がこもっていて、朝なのにもう蒸し暑い。マスクの内側が一瞬で湿る。肌にぺたっと張り付いて気持ち悪い。

息もしにくいし、鼻も詰まってるし、もう何もかも不快だった。

こんな日に限って学校あるんだもんなぁ。


ぼんやりそんなことを考えながら歩き出す。頭は重いし、体もだるい。だけど、それ以上に心が重たかった。

昨日の光景が、まだ頭から離れない。

透明なビニール傘。東の隣にいた女の子。楽しそうな声。優しい東の声。思い出した瞬間、胸の奥がまたチクリと痛んだ。