君に捧げるアイラブユー




下駄箱の隙間からそっと様子をうかがう。バクバクうるさい心臓。嫌だ、落ち着いて。

でも、聞きたかった。東の声。今日一回も会えてないから。少しだけでも見たかったから。

なのに同時に、知らない女子といる東を見るのが怖い自分もいた。

胸の奥がざわざわする。嫌な予感みたいなものが、雨音に混ざってじわじわ広がっていく。



「いいよ。それより、思ったより雨ひどそうだし、やっぱり傘一人で使ったら?」

「えっ……それだと、東はどうやって帰るの?」

「走って帰るよ、大丈夫」



聞き間違えるわけがない。正真正銘、東の声だった。たったそれだけなのに、さっきまで冷たかった胸の奥が一瞬だけ熱くなる。でも、その熱はすぐ別の感情に塗りつぶされた。



「二人で帰ろうよ。だめ?」

「うーん」



女の子の声。少し甘えるみたいな響き方。聞いてるだけで分かる。きっと可愛い子なんだろうな、って。なんでそんなこと考えちゃうんだろう。見てもないくせに。