君に捧げるアイラブユー




休み時間になるたび無意味に廊下を歩いてみたり、用もないのにトイレ行ったり、自販機の前で立ち止まってみたり。


もしかしたら東が偶然教室から出てくるかもしれない、なんて期待して。同じクラスじゃないって、こういう時に嫌でも思い知らされる。


廊下ですれ違えたらラッキー。話せたらもっとラッキー。そんなの、ほとんど運任せだ。結局今日は、一回も姿を見ていない。存在確認すらできなかった。


なんで私は、こんなことで一日中気分が左右されてるんだろう。たった一回話せるだけで嬉しくなって、会えないだけでこんなに落ち込むなんて。


あーあ。雨。どうしよう。せめて小雨なら走って帰るのに。この雨量じゃ三秒で終わる。前髪も終わるし、靴下も終わる。最悪。


私はぼんやり空を見上げた。灰色の空。絶対しばらく止まないやつ。帰れない。

そんなことを考えていた、その時だった。



「ごめんね、東」



不意に、後ろから女の子の声が聞こえた。

“東”その名前に、心臓がドクンと跳ねる。反射だった。自分でも驚くくらい自然に、私は近くの下駄箱の影に隠れていた。

体が勝手に動いていた。だって東って聞こえたから。東がいる。近くに。