5月中旬。
教室の窓から入ってくる風はぬるくて、まだ夏でもないはずなのに肌にまとわりつくみたいに重かった。昔はもっと、この時期って涼しくなかったっけ。
朝なんて少し寒いくらいで、長袖の制服の袖を指先まで引っ張って歩いていた気がするのに。
最近は違う。家を出た瞬間からじわっと汗がにじむ。駅まで歩いただけで前髪が額に張り付くし、教室に着けばみんな口を揃えて「暑い」しか言わない。
もう衣替えしてもいいんじゃないの、って朝から何回思ったか分からない。
でもまだ中途半端な時期だから、夏服の子と冬服の子が半々くらいで混ざっていて、それがまた余計に季節を曖昧にしていた。しかも暑いだけじゃない。
空気が湿っている。じっとしてるだけなのにベタベタする感じ。窓の外を見れば空はどんより暗くて、分厚い灰色の雲が空を覆っていた。
もうこれ、梅雨じゃない?まだ5月なのに。季節だけどんどん前倒しになっていくみたいで嫌になる。
「今日、雨降りそうじゃない?傘、持ってきてる?」



