東と、ふたりきり。いや別に廊下だし、周りに人はいるけど。でもさっきまで北見がいた空間に東しかいないってだけで、空気が全然違う。緊張する。どうしよう。
ちらりと柱についている時計を見る。次の授業まで、まだ5分以上ある。……5分。東と一緒にいられる時間が、あと5分もある。
「ねえ、あず――」
「西宮さ」
声が重なって、私は思わず口を閉じる。隣に立つ東が、少しだけ身体をこちらへ向けている。見上げれば、東の顔が思ったより近い。
背、高いなあ。こうして隣にいるたび思う。東から見下ろされると、それだけで変に意識してしまう。
今、東には私はどう映ってるんだろう。いつも通り?それとも変に見えてない?さっき好きなタイプとか言ってたの聞かれてないよね?変な顔してないよね?
「なに?」
そう返すと、東は少し困ったような顔をした。視線が落ち着かないみたいに、私を見たかと思えば廊下の先を見たり、また戻ってきたりする。
「……ここまで、天馬と一緒にきたの?」
「そうだけど……それがどうかした?」
私は首を傾げながら答える。
「たまたま病院同じで、帰るタイミングも同じだったの」
そう付け足すと、東は今度は片眉だけ少し下げて、じっと私を見た。



