気づけば、遠くから学校のチャイムが聞こえてきていた。
一定のリズムで鳴り響くその音に、ああもうこんなところまで来たんだ、とぼんやり思う。病院から学校まで、思ったよりあっという間だった。たぶんずっと東の話をしてたせいだ。
いや、正確には私が一方的に東関連で感情を乱高下させてただけなんだけど。
校門を北見とふたりでくぐると、すぐに昇降口が近づいてくる。
でも私はまだ迷っていた。聞こうか、やめようか。聞きたい。でも怖い。でも知りたい。頭の中でぐるぐる同じ言葉が回る。
いやでも知らないままなのも嫌だ。もう一年以上だよ?一年以上片想いしてるのに、知らないってどうなの。
『東ってどんな子が好きなの?』
なんて。
私は意を決して、ちらりと周囲を確認した。近くに誰もいない。よし。細心の注意を払って、口元を手で隠す。まるで国家機密でも話すみたいに声を潜めた。
「北見。東の好きな女の子のタイプ知ってる?」
言った。ついに言った。心臓がうるさい。どくどく音を立ててる。北見はそんな私を見て、一切表情を変えないまま言った。
「今更?」
「……自分でもそう思う」
今更すぎる。むしろ今までよく聞かずにやってきたな私。でも仕方ないじゃん。好きな人の恋愛話って、聞きたいくせに聞くの怖いんだもん。



