「……東?」
ぴくり、と反応してしまう。
次の瞬間、北見がわざとらしく私の顔の前にスマホを差し出してきた。表示されているのはラインのトーク画面。相手の名前を見た瞬間、心臓がどくんと跳ねる。
東汀。
「天馬学校来れる…?無理そうだったら、何か持ってこうか…?」
私はメッセージを声に出して読んだ。
……いいな。北見、いいな。なんでそんなふうに東に心配されてるの。ずるい。私だって心配されたい。
大丈夫?って聞かれたいし、無理しないでって言われたいし、何か持ってこうかなんて優しい言葉、私にも向けてほしい。
私の顔を見て、北見がスマホ越しに笑った気がした。マスクしてるのに分かる。絶対今、勝ち誇った顔してる。
「北見ってほんと意地悪」
「そんなこと言っていいの?学校着くまで汀の話でもしてやろーと思ったのに」
「え!?」
思わず勢いよく顔を上げてしまった。しまった、と思った時にはもう遅い。
北見がくくっと喉で笑っている。
ああもう最悪!なんで反応しちゃったの!?
だめだめだめ!こいつに借りなんか作りたくない!絶対振り回されるだけだもん!



