今みたいに軽口を叩ける関係になるまでには、それなりに時間もかかったし、地味に精神力も削られた。
でもそれは全部、「東が好きだから」という一点に集約されている理由で、つまり北見との関係は最初から不純というか、目的ありきのものだったとも言える。
北見は女子が苦手なのかなんなのか、とにかく誰とでも距離を詰める東とは違って、基本的に女子と絡んでいるところを見たことがないタイプだ。
だからこそ、東を好きな私は“例外枠”らしい。
思い返せば一年生のとき、「西宮は汀のことしか見てないから、楽」なんて、今考えても若干失礼なことをさらっと言われたのをはっきり覚えている。
でもあの時は、なぜか悔しいというより「この人、自分に自信あるんだな」という感想が先に来た。
どこが王子様?どこがナンバーワン?
そう言われている理由は見た目なのか性格なのか、たぶんその両方なのかもしれないけど、少なくとも私の中では“性格が悪い側に振り切れている美形”でしかない。
「いつまで片思いしてんの?獲られるぞ」
北見が目を細めてそう言う。
こういうとこですよ。



