君に捧げるアイラブユー




手はまだ繋がれたままなのに、さっきまでほんの少し空いていた距離が、東のほうから自然に詰められた。ほんの数センチなのに、呼吸が変わるくらい近い。


どういうこと。頭が追いつかない。

押し倒されたのが嫌だったってこと?それとも、かわいいって言ったのが嫌だったってこと!?



「かわいいとか、どの口が言ってんのって話」

「……へ?」

「西宮、俺に押し倒されても文句言えないからね」

「なっ……!?」



……ねぇ、何考えてるの。なんでそんなこと言えるの。

怒ってるの?からかってるの?それとも……いや、分からない!


東の表情は相変わらず読めない。なのに、握られた手だけがやけに熱い気がした。

これは、私の熱?それとも東の!?


心臓がうるさすぎて、喉が詰まる。結局いつも私ばっかり振り回されてる!


東は「ほら」と言って、少しだけ手を引いた。その力は強引じゃないのに、逆らえないくらい自然で、私はそのまま最後の一段を降りる。

コトン、と足が地面につく音がやけに大きく感じた。同じ高さにあった視線がまた変わって、今度は見上げないといけない位置に東がいる。

さっきまで繋がっていた手が離れた瞬間、左手だけがぽっかり空いたみたいに冷える。その代わりのように、東は松葉杖をそっと私に差し出した。